これも自分と認めざるをえない展

佐藤雅彦氏の21_21 DESIGN SIGHT-「これも自分と認めざるをえない展」を観る。会場は20代の人を中心に列ができている。
インタラクティブな展示が多いため、アトラクション待ちみたい。21_21はこんなに賑わうのか?佐藤氏の影響からか、会場にも来場者にも明るい雰囲気がある。

属性を切り口に佐藤氏がキュレーションした作家の作品と、佐藤氏ご本人の研究、実験作が並ぶ。表現の研究という、ありそうでなかった領域で活動される同氏の視点と、それをエンターテイメントとしてなりたつほどに解きほぐして完成させる手腕に、ぐっと感心させられる。
表現や認識の拡大は何をもたらすのかと考えていると、昨年、金沢21世紀美術館で観た作品を思い出した。展示室一杯に天井からタングステンランプが吊るされ、観覧者が入力装置であるヒモを握ると、ランプが点滅を始める。その人の脈に合わせて、ふわっ、ふわっと部屋全体が輝いた。
感動したのは、その作品が、人間の尊厳や、生きている尊さに直結していたからだ。
私が表現活動や創造物に求めるのは「あなたには生きている価値がある」と、誇りを思い出させてくれるメッセージなのだろうと、今更気が付いた。芸術も、デザインも、その点は同じ。
何かを見ないと、いろいろ気がつかないものだ。

copyright Nobuo Yasutake