GS日記1 視程

一応駆け出しのGS乗り(というモーターバイクの業界言葉があります)としては、皆さんの「一日500km位は走るね」という発言にいつも忸怩たるものが。いつかきっと東北や九州をGSで思う存分に走ってやる!と誰にともなく誓う。遠吠え?

というわけで34℃の中を松本まで(近い!)52号線をじりじり北上すると鰍沢からぱぁっと視界が開けるが、今日は特別。強い高気圧が居続けるせいか、真夏のような強い光線なのに水蒸気もなく、東は甲府はもちろん、三つ峠から勝沼も。西は八ヶ岳までくっきりと見える。中部横断自動車道を進むと、まるっきりの高架道路であるがゆえに視野を遮るものがなく、自分で走っていながらも眼前の光景と頭の中の日本地図を比べながら、距離感を反芻しつつ呆然とする。
抜群の視程は続き、野麦峠からは正面の浅間から左の山並みは長野市の奥の戸隠くらいかと想像していると、「見える距離と想像力は関係するな」と気づく。普段はどの程度の視程で暮らしているのか?今、こうして前後左右50kmづつほどが見えている世界にいる感覚と、数kmの世界とでは、自分の存在を自覚する比重が随分違う。広大な世界で謙虚になる気持ちは、たぶん登山と近い。
小海から299号でいつものように麦草峠を超える。標高は2127m。撮影していると赤トンボが腕にいた。

copyright Nobuo Yasutake