熊本市現代美術館

古屋誠一 メモワール.展を観る。1980年代を中心に、オーストリアで妻のクリスティーネと過ごした生活の記録が綴られている。数年前に彼の写真集を購入して以来、気になっていた。古屋氏自身が展示に携わり、彼女との出会いから精神疾患による離別までを逆時系列に配置してある。また彼らの日記も公開されていた。写真から静かに発信されるのは、命の尊さ、そのものだった。ごく個人的な記録だが、日常を丁寧に生きて記録した写真は、作り物にはない、多くの人が共有できる正義があるように思う。

話が変わるが、熊本市の上乃裏通りは若い人たちが懸命に試行錯誤しているお店が多く、エネルギーがある。食堂、お弁当や、キュイジーヌ、インド料理、洋服の生地屋、雑貨店。大手資本のチェーン店にはない手作りの、身銭を切った商売ならではの切符の良さと本気を感じる。でも食べたのは「こむらさき」の王様ラーメンだったけど。

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