未来デザイン研究展


新宿3丁目の小さなギャラリーで、2011年に立ち上がった「未来デザイン研究同好会」の初めての発表展を開催した。7月から少しづつ担当を決めて、10月から本格的に取りかかった。3年部長、2年副部長はじめ、グループワークがさほど得意とは言えない面々がばたばたしながら運営をこなした。
新宿という縁もゆかりも無い場所で発表パネルを見ると、「大学=まだ勉強の途中だから」という逃げ場が補償されていない分、出来映えがよく分かる。学生はコンセプトや解説を書けば正当に評価してもらえると思っているが、それは教員との間だけ。ここで伝わるのか?
情報デザインフォーラムの浅野先生からは「シナリオで伝えた方がわかる。コンセプトの背景は理解しにくい」とアドバイス。ゼミ卒業生で市ヶ谷の広告会社に務めるSさんは「学生の時間感覚はゆったりしているから、社会人の問題意識とは違う」と指摘。「実社会に使えそうな視点が無い」ということだ。
集まった33人の気持ちをまとめるためにHCDというワードを旗印のように掲げても、学生がユーザーに経験してほしい「こと」を豊かに発想できるには、まだ調査の糸口すら掴んでいないのが実態だ。普段の授業はユーザー不在の個人的「作品」を作るように教えられるので(汗)、矛盾も多いだろう。しかし一歩先を行く先輩たちの見解は真実だ。授業でしか通用しないことを学んでいても仕方ないだろうと私は思う。こうして勇気を出して恥をかいて、その中から学びのヒントを掴んでもいい。まだ許される1年目の発表会。

copyright Nobuo Yasutake