Facebook page


2年生が静岡市の温泉旅館のFacebook pageのプレゼンテーション。学生は現地取材の際に若女将の魅力にすっかりほだされており、意外にリラックスしている。
授業の目的は3つ。「ユーザーの期待を可視化する」「クライアントのファンを作る」「facebookアプリを覚える」中でも、「体験という商品を広告する」視点が持てるかどうか、マーケティングの重要視した。5つのチームは、取材前後に温泉旅館+ユーザー調査を行いシナリオを作っている。
最も説得力に富むプレゼンはCチーム。クライアントが持つ魅力を客観的に分析したことで、自然なペルソナの行動が生まれて、そのまま「ホタルを楽しむ旅館」のビジュアルが生まれている。情報の構造化で成功した例だろう。
クライアントの実際の事例をヒントに、ユーザー参加型のイベントを新規に考案したA,Bチームは企画の力が光る。Aはユーザーが実現したいイベント公募サイト。Bはユーザーが楽しみたい旬の食材調理リクエスト。いずれも一見無関係に見える事象どうしを結びつける、アイデアの飛躍力がビジネス展開の可能性を秘めている。グループディスカッションがうまくいった例だ。
派手はないが丁寧にユーザー心理を分析した、現実性が高い提案がD。プランの価格設定やユーザーコメントも用意した作り込みは、仕事ぶりに信頼が持てる。
Eは散策や写真撮影をしたくなる、というユーザー心理を鋭く捉えた絞り込みが目立つ。料理や温泉というクライアント側の視点ではなく、利用者とロケーションの関係性から魅力を見つけたのはこのチームだけだ。
課題もいくつか。印刷物だと「好き,嫌い」という情緒が絡むので評価が曖昧になりがちだが、facebookのようなwebメディアだと「分かる〜分からない」「正しい〜間違い」という抜き差しならない評価が最初にくる。取材+文献+ディスカッションの時点で「成功につながる間違いのない道筋」を理解していないと、約に立たないモノを作ってしまう。ゴールイメージである「ユーザーの幸せな体験像=コト」を掴んだ上で、はじめて「モノ」のデザインが成功する。
また、ゴールイメージをビジュアルに表現する造形力、相手の心に届くコピー発想は、多くの学生が訓練不足を痛感したはず。
総括して「コミュニケーションしたい」という親切心が成否の鍵であることに気づいた学生は多いと思う。ビジュアルの前に、相手をどう喜ばせたいか?どう分かってほしいか?なのだ。

copyright Nobuo Yasutake