第9回情報デザインフォーラムに参加

情報デザインフォーラムには120名が参加された。若くて物腰に節度が感じられる人が多く、他の教育系やデザイン系のセミナーと雰囲気が違うように思う。理系でクリエイティブな企業人や会社員経験者(?)という感じか?
情報デザインを推進するワークショップの報告が公開される。千葉工業大学山崎先生の事例は、産業界の価値の創造に向かって教育界からアプローチし、常に新しい視点を開発しながら研究に終わらず、売れるモノにまで仕上げていかれる。前例がない。公立はこだて未来大学の原田先生は(函館に移られて簡単にお会いできにくくなってしまった)グラフィックの表現力とビジネスの成功条件を情報デザインという客観的な問題解決手法の中で融合されていると思う。プロセスと表現の力を両輪のように走らせるのは、どちらか一方だけ教えるのに比べて遥かに難しいと思う。グラフィックという産業の次の姿の一つではないだろうか。

安藤先生の、マーケティングの経験を発展させた「全てのデザインはサービスデザイン」という指摘に大きく共感して勇気をもらった。木村博之様のレクチャーではインフォグラフィックスについてのあり方を「一義的な理解」ではなく「意識を変え、人々のつながりを有む」力に展開されていた。木村様とお話すると3.11以降、デザインの役割が変わったのだということがしっかり分かる。浅野先生の事例を伺うと、情報デザイン、UxはISOの改正によって生まれた黒船のようなものではなく、これまで潜在的に必要とされていたデザインのあり方が、コンピュータの発達によってようやく生活者のものになったのだと感じる。デザインは表現中心でも企業中心でもない。私たちのグッドライフのためにある人間中心の活動なのだ。教員になって10年ほど前から「グッドライフのためのデザイン」をごにょごにょと言い続けて私にとっては、しっくりくる時代が来たように思う。
17時からはパネル発表。常葉からは2案を貼り、3年、4年、卒業生がプレゼンして貴重な意見をいただいた。彼女たちは堂々として楽しそうで、大したものだ。次を担う2年生も4名が参加した。常葉も良い学びの環境になってきた。

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