越前岳の展望台

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晴れ間が出た。午後から国道1号線を東へ走り、田子ノ浦で左折して富士吉原を通りぬけ、国道469号線をのぼった。長旅から帰って調子がとても良いように感じたのは、リアのダンパーのセッティングが自分好みになったことが大きいようだった。停車時には右手のインテグラルブレーキではなく、左でリアブレーキだけを使う方が2009年式の車体に合っていることも分かった。左脚で支え、発信する時に右脚に踏み替えると、安心感が増した。

今日はツインエンジンの音がよく聞こえた。片側580ccのピストンが水平左右に毎分3,000回の往復運動を繰りかえしている時の吸気、爆発、排気の繰り返しと、多くのギアが噛み合わさる機械音の複合だ。鼓動というほど人間らしい不規則な感触はないが、並列四気筒の連続音とはまったく違い、僕と対話しているような頼もしさはしっかり捉えられる。2,000回転代は機嫌のいい大型の肉食獣と一緒にいるようなゴロゴロとした振動が下半身を伝わってくるし、3,000を超えたあたりから、エンジンの回転と車体の挙動と自分の意思とがぴったり合わさった一体感が訪れる。

富士山の東山麓と愛鷹山の間を抜ける国道はいくつかの中速カーブを抜けるごとに針葉樹の林に囲まれて気温も5℃ほど下がった。十里木高原にある越前岳行きの登山道入口がお気に入りの場所だった。秋から次第にすすきに覆われる高原は、歩いて10分程の展望台から正面に富士山を臨むことができた。何度も通った道にオレンジのGSもやってきたことになった。

 

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