孤独の安らぎ
台湾南部の阿里山地域は有名な行楽地だが、大地の造形は険しい。標高1,500mあたりのB&Bに2泊して、山塊の中腹に位置するデッキから、飽きるともなく、尾根の木々や視線の下に広がる家、お茶の向上や車の修理場や、おそらくは宿泊施設、を見ていた。
夜になると、そんな下界の道路には、20メートル間隔くらいに電灯がつく。緩やかに曲がる道路が、照らされたところだけが半円状に浮かび上がるその光景に、私は強く惹きつけられる。
あの道路を車か、モーターサイクルで走る自分がいて、その視界から、ところどころに明るくて、でも絶対的に真っ暗な闇の空間が見える。
かなり寂しい、心が冷えるような感覚がある一方で、手もとの機械に対する信頼や、困難に立ち向かっているような、暖かい勇気も感じることができる。
こんな光景は、これまでにも数多く経験してきた。夜の道。自分を強く信じることが、安全にたどり着くために必要な手触り。
モーターサイクルに乗る人だけではないだろうが、孤独に近づくことは、豊かになることでもある。