フィンランドとエストニアの旅

8時間でヘルシンキに着く。地球ってこんなに狭かった?と驚く。

実家の熊本までにかかる時間と大差ない、時差があるから、朝にでて昼にその街にいるので、なおさら近く感じる。

空港から特急で中央駅について、ホテルまで歩く。

キャリーを引きながら露店で買ったベリーをつまみ、夕ご飯にいい感じのお店を探しながら、お酒も飲み始める。

いつものように、下調べもなくそこへ行ったので、特に時間や行動の制約もない。

普段の暮らしが、やりたいことややらなければならないことで埋まっているとしたら、正反対に近いのが、最近の旅になってきた。

 

Booking.comで予約したホテルは、トラムの停留所から数十mで、周りは脚が長い犬をつれてあるくご婦人たちがいる通りだったので、居心地がいい。(ホテルにはちゃんとサウナもあった。朝食のベリーとパンの自家製のパテが、とても美味しかった)

http://helsinki-boulevard.hotelindigo.com/en

 

f:id:nobyas7:20180817032414j:plain

翌日、いくつかの美術館ですごす。

ディストリクセン美術館は、ちょうどスウェーデンのインテリアデザイン会社の展示だった。Estrid Ericson氏のコレクションが、テキスタイルからアンティークの工芸品、セラミック、家具、本という具合に、カテゴリーとは無縁に集められたものたちを貫く、本人の美意識に強く惹きつけられた。

https://www.didrichsenmuseum.fi/exhibitions/previous-exhibitions/svenskt-tenn-didrichsen/

中央駅の横にあるキアズマ現代美術館は、金曜だったから深夜24時までの営業。北の国の夏だから、20時から夕焼けで、22時ころまで西の空が明るい。結局、ガイドブックにあるインテリアショップものぞいたが、感慨がなかった。人気らしいショップもカフェも優先しなかった。トラムやバスで郊外にでかけ、特殊な施設を見たり、郵便局にいたり、アアルト大学でコーヒーを飲んだりしていた。

https://kiasma.fi/ja/

 

f:id:nobyas7:20180817220657j:plain

f:id:nobyas7:20180817212029j:plain

3日目にレンタカーのオペルを借りて、200kmほど離れた湖水地方に向かう。この旅では、こうした、何もない平野と森林の中に身を置くことをしたかった。

レンタカーは日本から予約していて、スマホアプリで受け取りが済む、はずだったが、窓口でいくつかの書類の説明を聞き、サインする。10年ほど前はもっと厳しい手続きがあった気もするが、今はこの程度でも面倒に感じてしまう。(ちゃんと国際免許は更新していた)

左ハンドルと右側通行に、30分ほど強く緊張する。AppleCarPlayもよしわるしだ。マップ表示と現実の自車との数メートルのずれは、都市部での右左折のタイミングや、ロータリー前後の車線変更にとって、自分とネットワークのどちらが正しいかを判断する手間が増える。

まっすぐな道路を走ると、次第に冷静になり気がつくことがある。制限速度は、80kmを中心に、見晴らしのいいところでは110kmまで上がるのだが、みな、その速度ぴったりで走る。また極端に人(車)が少ないので、渋滞というものがない。道路も人も、整然とことが進んでいくのだ。

一拍目はここ。スポーツを楽しむ中型施設なので、屋内プールで泳ぎ、夜おそくまで、空と湖を見ていた。

http://www.anttolanhovi.fi

 

f:id:nobyas7:20180819031129j:plain

二泊目はここ。湖と空と木々の美しさをしずかに感じていた。人的なサービスがほとんどない代わりに、圧倒的な自由が用意されていた。自分たちで薪をくべてサウナをあたため、近所の大型マーケットでチキンとソーセージ、パプリカとワインを買い、21時頃からバーベーキューをした。

シークレット・ラグジュアリーホテルとして相当に高い評価を受けている。

http://secretluxuryhotels.com/antinkallio-lakeside-cape-lahti_best-price191926

f:id:nobyas7:20180820135635j:plain

車をヘルシンキで返し、そのままトラムでフェリー埠頭まで行き、エストニアのタリンに向かう。いくつものバラバラな移動手段を組み合わせているが、フィンランドのスマートシティのレベルが高く、想定していた通りに進み、船上でゆったり過ごすことができた。

思いだすと、日本出国の際はセントレアの駐車場が予約できず、数日考えて金丸駅近くの賃貸パーキングをネット予約して、空港に着くまでが大きなストレスだった。それに比べても、リスクがすくない。

エストニアでは、ソビエト連邦の名残の建築を楽しみ、すてきなレストランを探した。湖の遺跡を探して畑を歩き、iPhoneを旧市街の広場に置き忘れ、警察署で1時間ほどかけて届けを出した。諦めていたが、帰国して1週間後にエストニア警察から電話がはいり、日本国の領事館が引き取り、国際便で送ってくれた。(8,000円程度で、長い道のりを経て、携帯は帰ってきた)

 

f:id:nobyas7:20180821164029j:plain

 

f:id:nobyas7:20180821134243j:plain

 

旅で得たことがあるとしたら、自分の生き方や楽しみ方への、自信かもしれない。これまでも、自前のアイデアと考えと下準備で、いくつかの国や都市を気ままに動いて、気持ちのいい時間や、暖かい会話や、ずっと忘れない光景を手にしてきた。そうした旅のノウハウは、今のところ自分たちだけのものだし、これからも自分たちを支えてくれる。何かの教訓を得るよりも、ただ、気持ち良さの広がりと深みを探求している。

 

 

copyright Nobuo Yasutake