デザインワークショップ

Courses, News & Events, Research | Ravensbourneは2010年9月に、ケントの緑豊かな地域からオリンピック開催予定のO2ドーム横に移転した。それはキャンパスの裏庭をキツネが歩いていた工房村のようなカレッジから、情報世界を牽引する学生を育てるデジタルファクトリーへの変身だったようだ。染織、印刷、木工の機械は全て廃棄され、フロアのあらゆる空間でプレゼンテーションができるほどの情報受発信の装置が装備された。03年から度々訪れていた身としては、とまどいが大きい。
吹き抜けのビルのほとんどの教室に壁はなく、いつでもどの分野の誰とでもコネクトできる。これは現代の複雑な問題解決を学ぶには正しい環境だと思う。他のクラスの話し声が聞こえてくるが、現場と同じだ。原則的に、閉鎖よりも開放を選ぶ思想には勇気と先進性があると思う。
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11時からRav学生との合同デザインワークショップ。3時間のグループワーク、「旅に役立つアイコン」を考案するディスカッションと制作。開始早々に学生たちは熱心にコミュニケーションを図っている。みんな、電子辞書を持っていて結構使えてることにいつも驚く。「日本を象徴する観光地って、温泉?」「百均はロンドンにもあるの?」みたいなひそひそ会話があちこちで起きている。問題の本質さえ捉えられれば、解決方法を発見する速度や角度は生活者の知恵のレベルとして、両大学生ともに大差ない。キーワードを捕まえて、フローチャートで展開させる発想法は世界共通だからだ。でもアイデアを絞り込む速度やスケッチの精度に個人差がでる。
Rav教員のNIMAと意見交換する。Ravの学生がディカッションに慣れている分だけ展開をリードするが、我々の学生の「決めきれない」姿勢が良い意味でアイデアのディテールを見直す効果が出ていると彼は感じている。私は逆に、決断力を学ぶ良い機会だと思っているから面白い。結果として、彼も私も一番良いと感じたのは、最も難航しながらも、若者文化の観光=ファッション=髪型と展開してシンボル化したグループだった。
ご縁があって、フジサンケイグループのロンドン支局より取材いただくことができた。今日と明日、TVスタッフが我々の勉強の様子を追って編集してくれる。

copyright Nobuo Yasutake