霧ヶ峰と美ヶ原は怖いけれど


2024年10月26日(土)の11時に自宅を出て、諏訪ICで降り、国道20号線から県道424線に入った。途端に上り勾配の急なカーブが混じる賄賂が続き、やがて国道194号に合流するとそこは車山湿原だ。そのまま460号を抜けてビーナスライン、美ヶ原高原まで。

数年前に松本市に泊まって走った、苦手な急勾配のヘアピンをこれでもかというほど走ることになった。

2速で2,000回転ほど。左に曲がり込むカーブの場合は速度が出すぎるのが嫌で時に1速を使う。失速しないようにリアのブレーキを軽く引きづりながらバンクしてアクセルを開ける。

高原からは上田市へ降りる。白樺の木々の中を抜けて、今度は急勾配の下りが続く、美ヶ原公園沖線だ。

17時前にホテルに入り、夜になりつつある飲屋街を歩き回り、最後は駅のお蕎麦屋さんでつまむ。

22時には寝た。

6時に目が覚めて、8時に走りだす。朝の上田の空気も光線も美しい。僕はひとまず今、とても自由だと思う。いや昨日から自由だ。一人でいて、誰にも何も要求しないし、誰からも要求されない。

喋る必要もない。取り止めのないことを頭の中で考えていれば良いのだ。これが僕が求めていることだ。

さて、まっすぐ帰るつもりが中山道の和田宿本陣からふと右折して、和田城跡を通りながら紅葉した勾配の道を気持ちよく上り始める。美ヶ原和田線だ。白樺湖に向かう三叉路を曲がり損ねて、再びビーナスラインに入ることになった。またヘアピンだ。

気持ちが乗らないまま走ると、特に右カーブで身体が硬い。左は大抵の曲率でも半身の重さを預けて車体ごとくるりと回り込むのを楽しむことができるけれど、右は肩に力が入ってしまう。

できるだけの勇気をもって、登って、降りて、帰ってきた。怖いと思いながら走るのは楽しいものではないけれど、自分の在り方を見つめざると得ないから、発見はある。

取り回しが楽なオートバイではないし、停める時にもいちいち気を遣う。それでもまた走りたいと思う。またリスクを受け入れてでも一人の時間がほしいと思うのだ。

 

copyright Nobuo Yasutake